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日本でやれるのか? サラリーマンの40歳定年制 [徒然なるまま]

日本でやれるのか? サラリーマン40歳定年制

このニュースを見た時、直ぐに頭に浮かんだのは、お隣の韓国のことだ。韓国は現在でも40歳定年制に近い雇用習慣がある。
韓国では一般企業に勤めると40代前半で幹部(通常は部長以上)になれない社員は順次退社してゆかざるを得ない社内空気になるのが韓国企業内の一般的な風景だ。
仮に40代後半から50代まで幹部以外の地位で会社に残ったとすると“極つぶし”と云われ相当肩身が狭い環境下になり多くは自然と退職への道を進む。

さて、韓国で退職した連中はどうなるのか? 元の会社の関係会社や取引先への天下りに成功すればかなりいい方だ。
退職後の人員を全て吸収できるほど韓国には受け皿がない。従って多くは自営業に転身する。
一般的なのは飲食店などだ。韓国料理屋店や屋台の類だ。韓国では大規模なリストラがあると屋台が増えると云われている。その屋台経営も5年以上継続出来るのは半分にも満たないという。これは大企業が飲食店のチェーン展開などをするため小規模経営を淘汰してしまう面も影響している。
そういう意味で、韓国はセカンドチャンスがほとんどない国だ。国民自身もそれを認めている。私の会社にいる韓国人スタッフでも、アカラサマに韓国に戻るのは嫌だと云い放つ人だっている。
韓国社会で一定の路線を外れると少数の例外を除いて非常に厳しい生活状況に陥ってしまう。そのためどうしても利己的にならざるを得ないという社会環境なので、日本人からすると事故評価や金銭面に粘着質で、相互的利益を考えない個人主義的な人材が多いと感じるが、背景にはこうした部分があると思っている。

よく韓国の人と仕事をすると、個人の不透明な金の動きに困惑させられることが多い。いわゆる横領や使い込みだ。これらもこうした社会情勢と無縁ではない。

仕事を通じて韓国の中小企業の役職者が多額の経費を個人用途に散在する姿を見たが、その多くが不動産や固定資産につぎ込んだり買ったりするケースだ。
韓国の企業の上層部のモラルハザードは目を覆うものが多いが、早期退職が一般的であるため、地位のある間に自分個人の経済地盤を固めて老後に備えようとする利己的な行動を伴い、社会環境を悪化させ、結果的に国家全体を脆弱にしてしまっている。アダム・スミスの言う利己的な見えざる手は、全体利益に貢献しないのだ。
もちろん日本だって彼らに負けないような詐欺師のような連中がいない訳じゃないし、韓国でも日本人の目から見ても真っ当な人は沢山いる。
しかし日本のように企業がある程度のレベルで従業員の将来設計を守ってくれるような雇用環境があるからこそ、日本人の多くのサラリーマンは大規模な横領をしない傾向が強く、将来設計を見据えられる代わりに会社への一定のロイヤリティーを持つ。
またこれらによって利己主義でなく相互主義を維持でき精神的余裕を持てる環境があるからだ。
しかし前述のような理由で韓国にはこうした余裕がほとんどないため、どうしても個人の生き残りを優先して横領や不正蓄財に走る心理状態を醸成してしまう。また横領を横領と思っていない人も多いから困る。

韓国ドラマが最初のブームを迎えた時、個人ブローカーのような連中が韓国の放送局との間に入り込み、ドラマが異常な高騰した時期があったが、それにはこうした連中があぶく銭を稼ぐために入り込んだからだ。
実際金以外に目的のない荼毘すべき連中だった。
また実現性のない企画を日本側に持ち込んで詐欺行為に及んだ連中もおり、私もそれの被害にあった事がある。
もちろんこうした被害にあった私の方にも、日本人的な感覚で人の紹介だからということで相手を信用するという無知さがあったからで、それ以後は随分と慎重になったので良い勉強になった。


さて、もし日本でサラリーマンの40歳定年制を敷いたらどうだろう。もちろん優秀な連中は問題ないだろう。40歳定年制で人材が流動性を持ち上手く行く部分があることは否定しない。しかし多くは普通の能力を持った人間ばかりなので、一般的には市場に人材が溢れ、企業側の方が被雇用者側より有利になり、実際は想定よりかなり社会的な混乱が起こるだろう。


早期定年となれば、個人個人の実績が自分の将来の価値を決めるため、会社への忠誠心や会社のために自分を犠牲にしようなんて思わないだろう。サラリーマンの中に勝ち組・負け組が今よりも顕在化し、中間層がさらに無くなり、結局のところ社会全体で見れば過度の競争は負の面を大きくさせるのではないかと思っている。

韓国の例を見ても、早期退職や老後の不安定さによる社会不安は、若い連中にも及び、成功のトラックに乗ったものだけがそれらしい生活を送れる社会になる危険性をサラリーマンの40歳定年制が孕んでいることは指摘しておきたい。
仮に政治による一定の配慮があればカオス化に歯止めをかけられる可能性はあるが、それでも終身雇用に比べて混乱度合いは大きくならざるを得ない。


サラリーマンで収入が増えるのは概ね35歳以降からだ。そのメリット享受し確立できる前に退職して自立となると、20代から30代前半で相当な給与をもらえるような会社で、尚且つ個人のキャリアアップがキチンと出来る職種で働かざるを得ない。そんな会社が日本にいくつもないのは誰でも分かるだろう。
当然会社内は個人主義的になり、組織としてはチーム形成が成り立ちにくく、知識の蓄積や情報の共有は個人社員への還元なしでは成立しない。
よくある外資系の社員環境のようになる訳だ。サラリーマンが全員傭兵化したら、日本のような“和をもって尊しとなす”という宗教にも似た観念にぼんやり覆われた我が国は崩れ去る可能性だってある。“和をもって尊しとなす”を否定する向きもあるが、功罪とりまとめても日本社会にはこの思想が1400年以上染みついている事実は否定できない。

現在のアメリカの社会で過度な競争社会と不平等とも言える財の配分の馴れの果てに起こっている事が何かを我々は毎日見ているではないか? 富の偏在に憤り、自由資本社会のアメリカ人の99%が持たざる者たちとしてWALL STREETを占拠した事件は記憶に新しい。
自由を標榜するアメリカ人ならこうした現実を素直に受け止めるのが国民の思想としては筋なのに、やはり過剰な富の偏在に怒りを表すではないか。
私は自分のこうした考え方が、意図せず社会主義的で、ともすれば共産主義的ではないか?と疑問を持つこともあった。

そんな中、ノーベル経済学者で世界銀行の上級副総裁を務めたJ・E・スティグリッツ氏が書いた「世界の99%を貧困にする経済」を読んで衝撃を受けた。
彼はアメリカの現状は完全な不平等社会であると称し、政治による富の再配分と適切なガバナンスを欠いていると断言したのだ。
私はアメリカ人の多くが自由を信奉し、特に共和党に多い個人主義が基本的概念の主流だと感じていたのだが、彼は社会の安定的形成には一定の再配分構造がなくてはならず、収入レベルと社会貢献の価値バランスを大きく欠く現在のアメリカ社会は早晩衰退すると言及しているのだ。

私は悪平等を決して良いとは思わない。人間は一定の努力貢献に基づいて報われるべきだ。生活保護費をもらったその足でパチンコに行って一攫千金を狙うような短絡的な連中の存在のために、他の大多数が汗を流すのを全く良しとも思わない。
あの大阪の生保護受給者の実態を見るにつけ憤る人も多いだろう。ああいった極端な連中はキチンと是正すべきとしても、限られた能力と資質で人材の多様性を維持するためには、一定程度の社会的保護と再配分がなければ社会が適切に成り立たなくなるのは、資本主義・社会主義の歴史的経過を辿っても明らかだと思っているのだが、アメリカ人ノーベル受賞者も同じような考えを持っていることに少なからず驚いた。
全員が自由主義の中で完全なる自立を前提で社会構造を組むのは机上の空論だということだ。
EU
が上手く行っていない最大の理由は、最初からEU域内の国家間の富の再配分について規定しなかったからだ。独立国家の集合体の富の再配分は、GNPの大きい国(つまりドイツ)に不利に決まっており、そういった点に専門家の連中は薄々気がついていたのだろうが、当初から統一を進める事を先行してしまったために、キチンと規定し国民に説明をしなかった事が一連の混乱の一因であるのは言うまでもない。

日本が1つの国家として成り立っている根本要因は、一定程度の割合で国家内に富を再循環させているに他ならない。

道州制を謳う政治家が多いが、結局富の偏在をミニマムにすることを前提にした制度設計をしない国家は1つの単位にならないし、国家としての力が発揮できない。
国家は地域差や個人の能力差を一定程度内に納め、ガバナンスが効く範囲で競争を促すような「差配」を政治によって調整できなければ存在出来ない。
アメリカは既にこの要件を満たさなくなっている。EUも同様だ。中国もそのレンジに入っており、この格差は不平等は縮小する気配がない。

さて40歳で定年を迎えて独立し、仮に65歳までの25年間までに更なるキャリアアップできる人間なんてサラリーマン人口の10%以下だろう。自分でも思うが、だいたいサラリーマンなんて自営・自立を出来るほどの特殊能力がないから総合力の一員としてやっている面もあるのだ。
日本にベンチャーが根付かないのはこうした背景もあるだろうが、サラリーマンの自立化を実現してもベンチャー設立に対して銀行融資などの金融面が追いつくかは甚だ疑問だ。

それ故日本で40歳の定年制を行ったら韓国のように無数の飲食店や路上販売者が乱立するんじゃなかろうか?と思う次第だ。
個人貯蓄で出来る事業なんぞはたかが知れており、銀行が貸してくれないのならなおさらだ。
韓国で退職者などによって無数の飲食店が増えるのは、短時間で事業収益からキャッシュを手に入れる方法がその位だからだ。
もちろん40歳の定年によるメリットを享受できる人材もいるにはいるだろう。しかし大半の人間は韓国を見てもわかるように平均以下の暮らしを強いられてしまう。

総論として40歳の定年制は日本人の社会には全く向いていないと思う。職の自由化・流動化という人もいるが、それにこうした構造変化に対応できる連中はごく少数派だろう。その変化に対応できない人材が溢れることで結果的に社会全体が落ち込む恐れもある。

日本人全員がイチローや桑田佳祐のような能力のある人間じゃないのだ。
そして仮にグローバル化への対応で、それを余議なくされるとすれば、日本人サラリーマンは就職時点からかなりの覚悟を必要とする人生を背負うだろう。若い間に家を買って建てて、車を買うなんていうプランも相当慎重にならざるを得ない。

韓国の受験戦争が日本の比じゃない理由はこうした面の反映だ。高級公務員や大企業のエリートにならないと本当にキツイ人生設計が待っているからだ。
果たして日本人はそういう国の国民になりたいのだろうか?


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